重度の手湿疹を完全に克服した簡単で単純な方法

手湿疹には非常になやまされた時期がありました。
その時期の症状はというと…

指には水疱がいくつもできていて痒みもともない、皮膚は薄くなりキーボードのタイピングや携帯電話のボタンを押すのですら痛みを伴うほどになり、さらに手 の平や甲は赤みを帯びて痒くなり出血し、そして爪の生え際や爪の脇は赤く膨れ上がり酷い痛みと出血を伴うほどの重症状態でした。

思い出すだけでも痛々しく、見た目もグロテスクな手となっていました。
何より指先や爪周辺がタイピングなどのちょっとした刺激ですら「痛み」と感じるようになり、皮膚が縮こまったような感覚になって手を広げることすら困難になるという日常生活に支障をきたすようになったのが非常に辛かったです。

そんな私の手が今では何事もなかったかのような普通の手にまで完治できたその簡単で単純な方法をご紹介いたします。

手湿疹とは

手湿疹とは何かを最初に確認したいと思います。
別名「主婦湿疹」や「進行性指掌角皮症(しんこうせいししょうかくひしょう)」と呼ばれます。
全て同義なのでこの記事では「手湿疹」の呼び名で統一していきます。

手湿疹の症状

日々の水仕事によって指や手の平・甲の皮膚が赤みを帯びてきます。
赤くなった皮膚はやがて乾燥し、皮膚の角質が剥がれ落ちてしまします。
さらに症状は進行し、指先の皮膚が薄くなっていき指紋すらも消えてしまい痛みが発生します。

ここまでの症状の場合「かゆみが出ない」場合もあります。

上記の症状が更に進行すると皮膚の一部が赤く膨らんで盛り上がった状態になる丘疹(きゅうしん)と呼ばれる症状が発生します。この状態を「滲出性丘疹(しんしゅつせいきゅしん)」と呼びます。
この状態から更に進行すると丘疹の上に小水疱が発生します。

この状態はかゆみが発生し致します。

ここまでが手湿疹の主な症状です。
私が発症していた爪の生え際や脇の腫れや出血は手湿疹ではなく「ひょう疽(ひょうそ)」と呼ばれる細菌感染症でした。

手湿疹の原因

手湿疹となってしまう原因は繰り返される水仕事です。

通常の手は皮脂が分泌されることによって皮膚表面に皮脂膜が形成され、皮脂膜が皮膚を保護してくれています。皮脂膜が皮膚をガードしているうちは健康的な手を維持することができます。

手湿疹とはこの皮脂膜が失われ、無防備な皮膚が刺激を受けることによって発症いたします。

皮膚の保護役である皮脂膜を剥がしてしまう行為こそが「水仕事」です。

水仕事とは毎日の食器洗いや、コックさんなどの料理に携わる方、美容師さんも仕事で水を使いますが、そういった仕事だけでなく、日常生活において石鹸を使うシーンも皮脂膜を剥がします。

外から帰った後の手洗いやトイレに行った後の手洗い。
こういった行為も皮脂膜を剥がしてしまう要因となっています。

よく、「手の洗いすぎは良くない」と言うのはこういった背景があるからです。

手湿疹のもう一つの原因

このように手湿疹の原因が皮膚を保護する役割の皮脂膜を剥がしてしまう状況が頻繁に起こるということにあるのですが、それ以外でも手湿疹が発症する場合があります。

それが「アトピー性皮膚炎」です。
アトピー性皮膚炎が治っていく過程の最後に手湿疹が残るといわれています。

私は幼少期に軽度のアトピー性皮膚炎でした。
耳の付け根や肘・膝の内側などに炎症があらわれ、よく引っ掻いて出血をしていました。
病院へ通い小学生になる頃には炎症はほとんど治まったのですが、中学生になると手の指に水疱ができるようになりました。

このころは特に水仕事をしていたわけでもないので、アトピー性皮膚炎の最終症状ということになり、これが私の手湿疹デビューとなりました。

その後は手湿疹症状があらわれたり治まったりを繰り返していましたが、水仕事を始めてからは治まる時期はなくなり、常に手湿疹の症状があらわれている状態となってしまいました。

手湿疹と並ぶ脅威「ひょう疽」

手湿疹とともに私の指に発生したのが「ひょう疽(ひょうそ)」です。
「ひょうそう」と言ったり「爪囲炎(そういえん)」「化膿性爪囲炎」とも呼ばれたりしますが、この記事では「ひょう疽」で統一していきます。

ひょう疽の症状・原因

ひょう疽とは爪周りに起こる感染症です。
爪の周囲にある小さな傷から黄色ブドウ球菌などの菌が入り込み、爪の周りが炎症し赤く腫れあがり痛みが発生します。
これを放置すると腫れている箇所に膿が溜まっていきます。

ひょう疽と手湿疹の関係

ひょう疽は傷口から菌が侵入することにより発症します。
侵入経路となる傷口は、包丁でちょっと切ってしまったなどのハッキリした傷だけではありません。

爪の脇に「爪のささくれ」ができたことはありますか?
通常ささくれと呼ばれるのは爪の根元の爪と皮膚の間辺りの表皮が毛羽立った状態のことを指しますが、それと似たように爪の脇に爪が毛羽立った状態が爪のささくれです。

爪ささくれを引っ張るとかなり痛いですよね。
痛くても気になって気になって無意識に触ってしまったり、服などに引っかかって切れたりします。

見た目では傷になっていなくても、爪ささくれによって指には傷が生じています。そしてこういった傷口から菌が侵入し、ひょう疽となってしまいます。

つまり「爪ささくれ⇒ひょう疽」となるのがひょう疽になってしまう人の流れなので爪ささくれを予防すればひょう疽になってしまう可能性も大幅に減らすことができます。

しかし手湿疹を発症している場合、ひょう疽を予防することは非常に難しくなります。なぜなら手湿疹になってしまうと皮膚の炎症によりささくれが発生しやすい状況となってしまうからです。

なので水仕事からひょう疽になってしまう人の多くは「手湿疹⇒爪ささくれ⇒ひょう疽」という流れで発症してしまっていて、水仕事を続けている限りはこの負の連鎖から逃れることは非常に困難となっています。

手湿疹を治療するために買った市販薬

手湿疹を治すためには病院へ行くのが一番確実です。
しかし病院へ行く時間がなかなか取れない場合、薬局などで売っている市販薬に頼ることになります。

私が実際に使った市販薬をご紹介します。

ロコベースリペア クリーム

熱・のど・鼻にルルが効くで有名な【第一三共ヘルスケア】のクリーム。
手湿疹対策に効果的な市販薬を調べていると、この『ロコベースリペア クリーム』を勧めている人が多くいたので購入しました。

このクリームは手だけでなく顔やかかと、ひじなどにも使用でき「保湿力」「低刺激」「長時間の効力」が特徴です。
特に私のようにアトピー性皮膚炎の経験があり、肌が弱い方は「低刺激」という特徴がとても合っていると思います。

【実際に使ってみて】
少し固めのクリームですが肌の温もりによってすぐに肌になじみます。

手湿疹の症状に対してはこれといった効力は発揮しませんでした。

ロコベースリペアは手湿疹になってからの治療ではなく、手湿疹になる前の予防と、日々のハンドケアのためのクリームのように思います。
まだ手湿疹の症状が出ていない方はロコベースリペアで日々のハンドケアをして手湿疹を予防しましょう。

キップパイロール-Hi

ロコベースリペアの次に購入したのがキップ薬品株式会社の皮膚外用薬『キップパイロール-Hi』です。

アメリカの病院や軍隊、警察などで救急薬として使われてきた皮膚外用薬で、殺菌力の高い成分を配合することによって火傷、切り傷などに有効です。

キップパイロールの特徴はじゅくじゅくしてしまった患部にも、カサカサな患部にも両方に使えるという万能性があります。

【実際使ってみて】
ジュクジュク状態の傷に効くということでロコベースの次に試したのがこれでした。購入当時の私の手は、手湿疹だけでなくひょう疽を発症していたので爪の付け根が腫れと膿でジクジク状態でした。
ハンドクリーム的な効果のロコベースに対しキップは傷薬。ジクジクになってしまったひょう疽に対してはキップが効くはず!!

そう思いキップを使い始めました。

キップは独特の匂いがあり、この匂いがダメな人には使うことができないと思います。

ひょう疽になってしまった爪の付け根部分や、手湿疹によって皮膚がボロボロになってしまっている部分に数週間塗り続けました。

結果。
残念ながらひょう疽に対しても手湿疹に対しても効果がありませんでした。

メンソレータム メディクイック軟膏R

誰もが知っているロート製薬の皮膚薬メンソレータム。
超有名なメンソレータムの手湿疹に特化した軟膏がメンソレータム メディクイック軟膏Rです。

メディクイック軟膏の特徴は「小さなぷつぷつ」「割れて痛い皮膚炎」「赤く広がるかぶれ」、そして手湿疹による痒みを改善する治療薬です。

メディクイックには青いパッケージの軟膏タイプと、赤いパッケージのクリームタイプがあります。
クリームタイプは手全体に優しくなじみやすく、軟膏タイプは患部にしっかり密着します。初期の手湿疹ならクリーム、重度になると軟膏といった使い方がよいと思います。

【実際に使ってみて】
ロコベース、キップと使って一向に手湿疹が改善されず、テレビCMで気になっていたメディクイックを購入しました。
この頃になると手湿疹・ひょう疽共に症状が悪化し、指の痒みも酷くなっていました。特に就寝前に指が痒くなることが多く、痒みのせいでなかなか寝れないという事態になっていました。

この状態の手にメディクイックを使ってみた結果。
使用してから数十分後、指の痒みが緩和されたように感じました。
さすが「かゆくてつらい手湿疹に効く!!」と謳っているだけあります。

数週間使っていくうちに、手湿疹によってかぶれていた皮膚も改善の傾向が現れ、手の状態が少し楽になりましたが、ひょう疽に対しては特にこれといった効果はみられませんでした。

結果。
手湿疹に対して確かな効果がありましたが、完治するというところまでは行きませんでした。
メディクイックを使用しながら日々の水仕事も続けていたので、どうしても完治というところまではいかなかったのです。

水仕事を一時的にやめることができるなら、メディクイックで手湿疹を治すことができると思います。

手湿疹で皮膚科へ行き、処方された薬

ロコベース、キップ、メディクイックと、3種類の市販薬を試した結果、手湿疹が若干改善しましたが、ひょう疽を併発していた私の手は既にボロボロになり、携帯のボタンやタイピングをするのですら痛くてできなくなるほどでした。

市販薬では限界を感じついに近くの皮膚科へ行き、薬を処方されました。

混合薬A


手湿疹の症状が出ているところに塗るようにといわれた塗り薬。
スチブロン軟膏0.05%とパスタロンソフト軟膏20%が1:1で配合された混合薬です。一日2回~3回塗るようにと言われましたが、手を洗った後や寝る前など5~6回は塗っていたような気がします。

効能はスチブロン軟膏が皮膚疾患用ステロイド剤、パスタロンソフト軟膏が皮膚硬化剤です。
スチブロンはステロイド剤の中で5ランク中2番目に強い薬です。

混合薬B


ジクジクとなってしまったひょう疽の部分用の塗り薬。
リンデロン-VG軟膏0.12%が2g、バラマイシン軟膏(BTRG250単位FRM2mg)が1.5g、亜鉛華(10%)単軟膏「ホエイ」が1.5gの混合薬です。

こちらも一日2回~3回塗るように言われましたが、混合薬Aと同じタイミングで使いました。

効能はリンデロンが抗生物質含有皮膚疾患用ステロイド剤、バラマイシンが抗生物質含有皮膚疾患治療薬、そして亜鉛華が皮膚保護剤です。
リンデロンはステロイド剤の中では5ランク中3番目に強力な薬です。

デルモベート軟膏0.05%

手湿疹の症状が激しい部分用の軟膏。
作用が強い薬のようで基本は混合薬Aを使い、手湿疹の症状が酷い部分に対してのみ一日2回~3回塗るように言われました。

実際の使用頻度は混合薬と同じタイミングで使用しました。

効能は皮膚疾患用ステロイド剤で、ステロイド剤の中では5ランク中最強の1郡の薬です。

セフポドキシムプロキセチル錠100「TCK」100m

抗菌作用のある錠剤。一日2回を7日間分処方されました。

処方薬を使った結果

処方された4つの薬を使った結果、手湿疹もひょう疽もほぼ完治しました。特にひょう疽に対しての効果はとても早く現れ、混合薬Bは8割ほど余ってしまいました。
手湿疹に対して強力な効能があるデルモベートもあまり使うことなく治癒し、かなりの量が余り、手湿疹用塗り薬の混合薬Aは半分ほど使った時点で症状がほぼ改善しました。

その後ひょう疽は完治しましたが、手湿疹に関しては水仕事を継続しているため完治とまではいきませんでしたが9割ほどは回復することができました。
折角治った手なのにこれまでと同じ生活をしていたのでは再発することは必死でしたので、水作業するときは必ず綿手袋の上にゴム手袋をする二重防御をするようにしました。ゴム手袋だけを使用すると、ラテックスアレルギーや接触性皮膚炎を発症する場合があり、とくにアトピー性皮膚炎がある人の場合はラテックスアレルギーを発症するリスクが高まります。

実際私の場合も最初はゴム手袋のみをして水仕事をしていましたが、使っていくうちに手湿疹を発症してしまい、一時はゴム手袋をせずに水仕事をしていた時期もありました。ゴム手袋しないことによって一時的に手湿疹の症状が軽くなったのですが、最終的には手湿疹は悪化し、ひょう疽までも併発する事態となってしまいました。

こうした状況を回避するのにとても簡単で効果が高いのが綿手袋です。
綿手袋を装着してからゴム手袋を装着することによって、ゴム手袋と皮膚の接触を回避でき、ラテックスアレルギーや接触性皮膚炎を回避することができます。
この2重手袋をするようになってからひょう疽は一度も発症せず、手湿疹になることもほぼなくなりました。

料理中は手と水が接触するのを避けることができませんので、軽度の手湿疹症状が現れることもありますが、大量に残った塗り薬をちょくちょく塗ることによってちょっとした手荒れ程度の症状で済むようになりました。

まとめ

既に手湿疹やひょう疽を発症している場合、市販薬に頼るよりも一度でいいので近くの皮膚科へ行くことで簡単に完治することができます。

面倒だったり、時間がないといった理由などで病院を避けてしまうと、余計に時間やお金を損してしまうことになります。私のように。
それでもどうしても病院には行けないという方は、現在の手をこれ以上悪くしないために、水仕事の際は2重手袋をして作業に当たってください。病院に行くまでの繋ぎの薬としては「メディクイック軟膏」が有効的なので、2重手袋と合わせて使用するのがお勧めです。

しかし……やはり治療の一番のお勧めはやはり皮膚科へ行くことです。
そして予防の一番のお勧めは綿手袋の上からゴム手袋をする2重手袋です。この2点をしっかり行うことで手湿疹に悩まされるリスクは極端に下がりますのでとてもお勧めです。

再発

完治したと思っていましたが、すぐに再発しました。
中学生の頃からこの症状が出ていた私だったので、そんな簡単に治るわけはないと思っていましたが、やはりこれはもう体質なのでしょうね。

今回お医者さんに貰ったのは「アンフラベート0.05%」という軟膏。
ステロイド系の強さランキングでは上から2番目の強さで、以前処方されたデルモベートは最強だったので一段階弱い物を処方されたという事ですね。

確かに今回はひょう疽を発症するまでには至っていないため、そんなに強いステロイドは要らなかったという事なのでしょうね。